箆柄暦『九月の沖縄』2024『沖縄ニービチソング決定盤』
- 2024.09.29
- インタビュー
《Piratsuka Special》
『沖縄ニービチソング決定盤』
~沖縄各地の結婚式(ニービチ)で歌われる定番曲を集めた決定盤!~
「ニービチ」とは、ウチナーグチで「結婚式」のこと。そのタイトルもズバリそのまま、沖縄の結婚式でよく歌われる歌ばかりを集めたアルバム『沖縄ニービチソング決定盤』が、9月下旬にリリースされた。
「結婚式の定番曲」といえば、沖縄県外では「結婚をテーマにしたJポップのヒット曲」を思い浮かべる人が多いだろう。だが沖縄では(それもあるが)それだけではない。
たとえば沖縄本島の結婚式なら、披露宴の座開きとしてまず、祝宴に欠かせない琉球古典音楽「かぎやで風節(かじゃでぃふうぶし)」の演奏と、琉球舞踊が披露されるのが定石だ(これが八重山諸島だと、八重山民謡の「鷲ぬ鳥節(ばすぃぬとぅるぃぶすぃ)」等が、宮古諸島だと、宮古民謡の「とうがにあやぐ」等が歌われたりもする)。結婚式場はどこも広々としたステージを備えており、その舞台上で宴の間中、次から次へとゲストによる歌やダンス、ショーなどの余興が繰り広げられる(そもそも沖縄の場合、招待客が100人、200人という規模も珍しくないので、余興の担い手にも事欠かない)。その中にはもちろん民謡やエイサー、琉球舞踊など、沖縄ならではの演目も多々含まれる。さらにフィナーレでは、早弾きの三線に乗せて、新郎新婦を含む列席者達がカチャーシー(沖縄風の手踊り)を踊って盛り上げる。…というのが、沖縄でよく見られる結婚式の光景だ。
本作には、そんな沖縄の結婚式で歌われてきた歌が全16トラック分、たっぷりと収録されている(曲によっては2~3曲がメドレーとなっているため、楽曲数では20曲以上となる)。特筆すべきは、琉球古典音楽(以下、古典)や沖縄民謡など沖縄本島の曲から、八重山・宮古の民謡まで、沖縄各地のニービチソングが幅広く収められていることだ。本作のプロデュースを手がけた結ヌ会(琉球古典音楽野村流保存会)のリーダー・野原廣信は、「古典はもとより、各島の民謡も名曲揃い」と太鼓判を押す。
「私は40年以上、古典を学んできましたが、今でも毎日何かしらの新しい発見があります。中でも感動するのが、歌詞の奥深さ。特に『かぎやで風節』は、祝いの内容に応じて歌詞が50種類くらいあり、今回は結婚を祝う歌詞で歌っていますが、これがまた素晴らしいんです。古典は『ふだんは聴く機会がない』という人も多いでしょうし、こういう形でその魅力に触れてもらえたらと思います」
そうした古典に加えて、本作では八重山・宮古の代表的な民謡や、戦後にヒットした新しめの沖縄民謡、カチャーシーや琉球舞踊の定番曲なども選曲しており、これ一枚で幅広いジャンルのニービチソングを聴くことができる。野原は「県外の方には、まず『沖縄の名曲集』として楽しんでいただければ。そして沖縄の方には、ぜひ実際に結婚式でこのCDを使っていただきたいです」と笑った。
「沖縄の賑やかな結婚式を、これからも残していきたいという思いもあります。戦後の辛い時期を、歌や踊りで乗り越えてきたのが沖縄ですからね」
本作のキャッチコピーは「一度結婚式を挙げた人も、もう一度挙げたくなるCD」。これから結婚式を挙げる予定がある人もない人も、ハッピーオーラ満載の本作で幸せ気分に浸りましょう!(取材&文・高橋久未子/チョークアート:佐藤由樹子)
[CD Info]
『沖縄ニービチソング決定盤』
リスペクトレコード
RES-350
3,520円
2024/9/25発売
かぎやで風節~御縁節~揚作田節/四つ竹(踊りくわでさ節)/前ぬ浜節~坂原口節~与那原節/ニービチすがやー/鷲ぬ鳥節/目出度節/かたみ節/でんさ節/弥勒節~やらよぅ節/とうがにあやぐ/米ぬあら/梅の花乙女/根引ち音頭/加那ヨー~天川/嘉手久~唐船どーい
CDの詳細・購入・ミュージックビデオ視聴はこちらから
https://www.respect-record.co.jp/discs/res350.html