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箆柄暦『四・五月の沖縄』2024 ベンビー

2024.04.04
  • インタビュー
箆柄暦『四・五月の沖縄』2024 ベンビー

《Piratsuka Special》

ベンビー~芸人から役者へ! 四十九の春、東京進出~

沖縄では、音楽、ダンス、お笑い、演劇、映像、アートなど、あらゆるカルチャーシーンで多くのアーティストやタレントが活躍しており、中には県民の間で高い人気と知名度を誇る者も少なくない。ここに紹介するベンビーも、間違いなくそのうちの一人だ。

彼は26歳のとき、沖縄の芸能事務所「オリジン・コーポレーション」からピン芸人としてデビュー。いかにも沖縄にいそうな「おじぃ」やヤンキー少年に扮したり、人間ではなく昆虫や動物になりきったりなど、個性的なキャラクターをウチナーグチも交えてパワフルに演じるコントが評判を呼び、事務所主催の定例ライブを中心に人気を博した。2012年には、沖縄のお笑い王者決定戦「O-1グランプリ」で優勝。以降もお笑いライブや各種イベント、テレビ・ラジオ等に出演するほか、役者としても映画やドラマ、舞台作品などに参加し、県民に幅広く親しまれている。

そんなベンビーが今年1月、突如として「東京に行く」と宣言した。4月から東京に拠点を移し、主に役者としての活動に本腰を入れていくという。50歳を前にしての決断に、周囲は「本気か」「大丈夫か」と心配したが、本人は「最初から目標は“世界のベンビー”だった。世界進出のタイミングがたまたま今になっただけ」と、屈託なく笑う。

「デビュー前から『いずれは全国、そして世界で活動したい』と考えてましたが、僕は気が弱いし(笑)、未経験で東京や海外に行っても、押し潰されちゃうかなと。じゃあまずは沖縄で売れよう、そうしたら東京からも(仕事で)呼ばれるようになるんじゃないか、と思ったんです」

しかし沖縄で人気芸人となっても、東京からはなかなか声がかからない。年齢・芸歴共にベテランの域に入るにつれ、ベンビーは「このまま沖縄にいても、自分に伸びしろはない」と痛感したという。同時に、若い頃と比べると芸人よりも、役者としての活動に強く惹かれていることを自覚。「東京で役者をやろう」と決意した。

「お笑いももちろん好きだけど、今は役を演じているときのほうが純粋にワクワクするんです。あと、役者って“人間としての厚み”が求められる仕事だと思うんですが、若い頃の僕は人生が順風満帆すぎて(笑)、自分でも薄っぺらい人間だなあと感じてました。この年になって、いろいろキツイことも経験した今なら、役者としてもやっていけるかなと。僕には沖縄で築いた経験や人脈もあるし、スタートが遅いとは全然思いません。気負わず自然体で普段着のまま、まずはどんどん人に会って、オーディションも受けて、東京での役者活動を軌道に乗せていけたらと思っています」

とはいえ、ベンビーがお笑いの世界から完全引退するわけではなく、東京でも在京のオリジンOBらと共にライブに出演する予定とのこと。全国の皆さんには、沖縄が生んだ実力派芸人・ベンビーの舞台をぜひ生で体験するともに、今後の活動にも注目し、役者・ベンビーに応援の声を送ってもらえたらと思う。(取材&文・高橋久未子/撮影・萩野一政)

ベンビー

1974年、沖縄市出身。琉球大学卒業。2000年にデビューし、2012年のO-1グランプリ優勝を含め、県内のお笑い賞レースで受賞歴多数。イベントの司会、テレビのレポーターやキャスター、ラジオパーソナリティとしても活躍。役者としては近年、WOWOWドラマ『フェンス』、映画『ミラクルシティコザ』などに出演。東京では「オリジン・コーポレーション東京支部」の一員として活動する予定。

ベンビーX(旧Twitter)
https://twitter.com/ominejinanuu

[Live Info]
◆お笑いライブ春の陣 in TOKYO
出演:ベンビー/しんとすけ/スズカーサーキット/三日月マンハッタン/エイトブリッジ/さんだる/フタリシズカ/イチゴ
日時:4/14(日)15:00開場/15:30開演
会場:大塚ドリームシアター(豊島区大塚)
料金:3000円(1ドリンク別途)

公演詳細・チケット販売
https://tiget.net/events/305478

◆オリジン東京進出記念「オリジン大同窓会」
出演:ベンビー/しんとすけ/ノーブレーキ/Kジャージ/ハンジロウ/三日月マンハッタン/キャン×キャン/ナインボール
日時:6/15(土)
場所:鶴見沖縄県人会館(横浜市)
※その他詳細は調整中