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箆柄暦『九月の沖縄』2023 首里汀良町十五夜獅子舞

2023.09.01
  • インタビュー
箆柄暦『九月の沖縄』2023 首里汀良町十五夜獅子舞

《Piratsuka Special》

首里汀良町 十五夜獅子舞~町を守る、誇りの獅子舞~

芸能の盛んな沖縄では、エイサーをはじめ獅子舞、棒術、旗頭、舞踊など、県内各地で多彩な民俗芸能が伝承され、地元の年中行事や祭りで披露されている。その中でも特に長い歴史を誇るのが、首里汀良町(しゅり てらちょう)の獅子舞だ。

沖縄では、獅子が地域の守護神とされており、主に旧暦7月のお盆や八月十五夜に、住民の安全・繁栄を願って獅子舞が行われる。汀良町の獅子舞は500年以上前、琉球を統一した尚巴志王が、この地に住民を移住させた頃に始まったとされ、1987年には那覇市の無形民俗文化財に指定された。現在活動の中心を担うのは、首里汀良町獅子舞保存会の青年部メンバー。青年部長の親泊朋輝さんは、汀良町の獅子舞の魅力をこう語る。

「汀良町の獅子舞は、胴体の毛の色が七色と華やかで、静と動のメリハリある動きが特徴です。他地域では茶一色の獅子が多いですが、汀良町の獅子舞は王様に見せるためのものなので、七色と豪華になったのでしょう。また、演舞の型は空手の原型の『首里手(すいてぃー)』から発展したと言われていて、戦前は14種類あったそうですが、今は6種類が継承されています。獅子の動作が空手の型と融合して、まるで獅子が生きているように見えるのも、汀良町の獅子舞の魅力です」

その言葉通り、獅子は荒々しく床を踏みならして跳ね回った後、頭を高く掲げて静止し、悪を退散させるべく上から睨みつけるなど、静と動を組み合わせた動作が印象的だ。演舞は二人一組で行い、前側の演者が獅子頭を持つが、その重さは5~6キロもあり、頭上に掲げたまま激しく動き回るのはかなりの重労働。しかも獅子頭の位置が少しずれるだけで獅子の目線が移動し、獅子舞全体の印象も変わってしまうという。メンバーは伝統の技を正しく継承しようと、OBの指導も受けながら、八月十五夜の約2か月前から毎晩練習を重ねている。

そんな青年部の構成員は、30代を中心に約10名。それぞれに仕事もある中、活動を続けているのは、「獅子舞はこの町に必要とされていると実感するから」と、部の一員である中村圭介さんは言う。

「僕らも純粋に獅子舞が好きだからやってるんですが、町の皆さんが『汀良町には獅子舞がある』と認識してくれているのが大きいですね。十五夜の日は、皆さんが獅子舞を見て喜んだり、獅子に『今年もよろしくお願いします』と挨拶している方がいるのを見ると、『僕らがこの地域の芸能を担っているんだ』と誇りに思います」

2023年の十五夜獅子舞は、9月30日(土)。2020年以降は新型コロナ感染拡大の影響を受け、会場となる汀良町自治ふれあい館での演舞は見送られてきたため、実施は実に4年ぶりとなる。感染対策の観点から、今年は汀良町住民のみを対象に開催する予定だが、「来年以降はまたたくさんの方に見に来てもらえたら」と、青年部メンバーは口を揃える。なお、その後も11月の「琉球王朝祭り首里」パレード等に出演するほか、YouTubeには動画もアップしているとのこと。この機会にぜひ、沖縄最古の汀良町十五夜獅子舞の、迫力ある演舞を体感してもらえればと思う。(取材&文・高橋久未子/写真・伊舎堂浩明、2005年撮影を複写)

首里汀良町獅子舞保存会青年部

保存会には高校生以上で構成される青年部のほか、小学生以上から入れる子ども会もあり、子ども獅子舞も行われている。演舞に使う獅子の毛は芭蕉糸を染めたもの、獅子頭はデイゴの木を彫り出して作られたものだ。(前列左端:青年部長・親泊朋輝さん、後列左端:中村圭介さん)

首里汀良町獅子舞保存会YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCkGz4Nb8vxJEy9K0jVDppIQ