ティンク ティンクは、沖縄ポップの雄として活躍するりんけんバンドのリーダー、照屋林賢（てるや・りんけん）がプロデュースする女性ボーカルグループだ。1998年の結成以来、数度のメンバー交代を経て、2019年春からは我那覇セイラ（恩納村出身）、波名城夏妃（宮古島出身）、屋嘉比奈々（南風原町出身）、譜久村さやか（北谷町出身）の4人で活動。いずれも幼少から琉球舞踊や歌三線に親しんできた実力派揃いで、ホームグラウンドである北谷町のライブハウス「カラハーイ」でライブ（コロナ禍以降は主に配信ライブ）を行う一方、オリジナル曲の制作にも取り組み、2023年2月には現メンバーでは4枚目となる新作『星ぬ子（ふしぬふぁ）』をリリースした。今作では作詞・作曲に加え、ベーシックなアレンジにも初チャレンジ。コロナ禍で活動が制限される中、こうして新作を生み出せたことに、それぞれが手応えを感じているという。

セイラ「今作では私もみんなも、今まで以上に自分の伝えたいことが表現できたんじゃないかと思います。音楽の知識はまだまだ浅いけど、やっぱり『今の自分にしか作れない曲』ってあるんだなと。私は憧れの歌人・恩納（うんな）ナビィのように、時代や風景が変わっても、多くの方に共感してもらえる歌を歌っていきたいです」

さやか「私も毎回、『今しか書けない歌』を作りたいと思っています。アルバム一枚ごとに、その時々の私の思いを残していけたらと。今回は、歌詞の内容もより具体的にイメージできるようになってきて、曲作りの幅が広がったと感じています」

奈々「私の場合、歌詞は故郷の南風原町と自然をテーマにしたものが多いんです。やっぱり故郷はいいところだし、沖縄の自然って本当に素晴らしいので、私の曲を通じて、その美しさをもっと多くの方に知ってもらえたら嬉しいです」

夏妃「私も今回、故郷の宮古島の言葉を使った曲を書きました。将来的には宮古の民謡や言葉をルーツにした、新しいジャンルのポップスを作りたいと思っています。現時点では、宮古民謡を学んだ若い子がずっと歌を続けられるような環境が、どこにも整っていないんです。私は林賢さんが沖縄本島でやってこられたように、故郷の民謡や文化を次の世代に引き継ぐための道を切り開いていきたいです」

こうしたメンバーの思いを受けて、プロデューサーの林賢は「これからもいろんな人と出会って、たくさんの経験をして、何百と曲を作っていく中から、『自分はこれを表現したかったんだ』っていうものを見つけてほしい。今作では（以前よりも）自分の気持ちを歌にできていると思うので、次回作が楽しみ」とエールを送る。

現在はカラハーイでの有観客ライブ（月2回）と配信ライブを並行しつつ、地元テレビ局で街歩き番組「ティンク ティンクのあっちゃーあっちゃー」にレギュラー出演するなど、精力的に活動を続ける彼女たち。なお、セイラは2023年4月から産休に入り、復帰後はソロに転身予定のため、この4人での活動は3月末までとなる。今回のニューアルバムと併せてライブも、会場やオンラインでぜひ楽しんでほしい。（取材＆文・高橋久未子／撮影：金載弘）