※ロングインタビューは現在準備中です。準備が整うまで、本誌表紙掲載のショートバージョンを掲載します。

四姉妹グループ「でいご娘」の一員として幼少から舞台に立ち、民謡界で数々のヒットを飛ばす一方、島太鼓奏者としても沖縄随一の実力を誇り、ソロや自身のグループ、他アーティストのサポート、後進の指導など、幅広く活躍してきたひがけい子。その彼女がこの3月、キャリアの集大成ともいえるリーダーアルバム『テンミカチ ドンミカチ ヒヤミカチ』を全国発売した。タイトル曲は、人気唄者“元ちゃん”こと前川守賢が書き下ろした新曲で、「三線をテンと弾き、太鼓をドンと叩き、ヒヤッと囃す」の意味。その題名通り、本作には島太鼓はもちろん歌三線や囃子も含め、彼女の華やかなパフォーマンスが楽しめる楽曲が全14曲、新曲とスタンダードを取り混ぜて収録されている。

ひがは「こうして島太鼓にフォーカスを当てたアルバムを作ることができて、本当にありがたい」と喜ぶ。「私の場合、ソロの太鼓で創作表現をするのも好きですが、歌や踊りの伴奏として叩くのはもっと楽しくて、大好きなんです。歌い方や踊り方は人によって違うので、タイミングを察して拍子を合わせるのはすごくウキウキするし、その気分を聴いている方にも届けられたらと。今回のアルバムも、参加してくださった唄者の方々のおかげで、とても楽しく叩けました。島太鼓だけでなく、歌三線で皆さんとデュエットできたのも嬉しかったです」

録音には、元ちゃんのほか田場盛信、金城恵子、普久原千津子（でいご娘三女）らベテラン勢から、八重山民謡の伊藤幸太、宮古民謡の松原忠之、沖縄民謡の宜寿次光（ぎすじ・ひかり）ら若手勢、さらには琉球舞踊・組踊の玉城流三代目家元・玉城盛義（たまぐすく・せいぎ）など、バラエティに富んだ面々がゲスト参加。彼らとの共演により、ひがのダイナミックかつ繊細な太鼓のリズムや、艶やかなボーカルがよりいっそう引き立ち、民謡の新たな魅力を感じさせる仕上がりとなった。アルバムの締めには、大御所・知名定男が提供した新曲も収録されており、こちらも聴き応え十分。ひがは「今後も、聴いた人が元気になれるような太鼓を叩いていきたい」と意気込む。

「コロナ禍の中、気持ちが落ち込むこともあると思いますが、そんなときはこのアルバムを聴いて、島太鼓の楽しいリズムで気分を上げていただけたら嬉しいです。6月には豪華ゲストの皆さんと一緒にCD発売記念ライブもやりますので、ぜひご覧くださいね！」（取材＆文・高橋久未子／撮影・喜瀬守昭）