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箆柄暦『八月の沖縄』2013 ディアマンテス

2013.08.01
  • インタビュー
箆柄暦『八月の沖縄』2013 ディアマンテス

pira1308_hyo250箆柄暦『八月の沖縄』2013
2013年7月31日発行/124号

《Piratsuka Special》
ディアマンテス(アルベルト城間&トム仲宗根)

《Piratsuka Special 2》
松田一利『ヌチヌハナ』

《Piratsuka Topics》
コザ・ライブハウスサーキット
普久原恒男『民俗音楽 詩曲 響〜とよむ〜』
きいやま商店『ダックァーセ!』
沖縄音楽夢の祭典2013@所沢
島袋優 with 一五一会オールスターズplays Disney
Midnight Rambler『Pickin’ Storummin’ Slappin’』

 

 

 

Piratsuka Special
ディアマンテス
『ARTESANO』

音楽の職人達から、愛と誇りを込めて。

プリント ペルー出身の日系三世ボーカリスト・アルベルト城間(写真左)、うちなーんちゅベーシストのトム仲宗根(写真右)らを中心として、一九九一年に沖縄で結成されたディアマンテス。ラテンのリズムにロック、ポップス、歌謡曲、沖縄音楽などさまざまな要素をチャンプルーした独自の音楽性と、アルベルトの甘やかで表現力豊かな歌声、情熱的なバンドの演奏で注目を集め、沖縄を代表する人気バンドとして活躍してきた。その彼らがこの夏、二年ぶりに新作『ARTESANO』をリリースする。タイトルはスペイン語で「職人」の意味。この言葉を選んだ理由について、アルベルトは「僕らは音楽の職人だから」と語る。

「僕らにとって、音楽を通じて大事にしたいものは“愛”、つまり人と人とのつながりなんです。でも誰かとつながりたい、誰かを大事にしたいと思ったら、まずは自分で自分を大事にできる人間でなくちゃならない。そのためにも僕らは、自分自身が納得のいく音楽を作れる、誇りある職人でありたいんです。僕らの音楽には愛がある、絶対に譲れないプライドがあるんだという思いを、この言葉に込めました」

 彼らの決意は、CDの収録曲からもしっかりと伝わってくる。心躍らす多彩なラテンのリズムは、キャッチーなメロディやホットな歌詞と相まって、実にディアマンテスらしい爽快さと快感をもたらしてくれる。一方でバラードや歌謡曲調のナンバーでは、アルベルトの魅惑的な歌いっぷりに心地よく酔わされる。

 バンドの原点に立ちつつもさらに高みを目指す、そんな“攻め”の一枚が完成した背景には、実はもう一人の“職人”の存在がある。今作にギター&マスタリングで参加した、イクマあきらだ。メジャーでの活動を経て現在は沖縄に住み、D‐51らのプロデュースも手がける彼は、アルベルトやトムとは数十年来の友人であり、互いの音楽についても深く理解し合った仲だった。トムは「プロデューサーの視点を持っている彼の音作りは、とても勉強になった」と振り返り、アルベルトも「十数年前の出会いは“本物”だったと、今回改めてわかった」と嬉しそうに語る。

「このアルバムは約一年かけて制作したんですが、実は最初はギターなしでレコーディングを進めていたんです。でも途中でやっぱりギターを入れよう、となったとき、すぐに“イクマさんしかいない”と思いました。結果的に彼がディアマンテスの良さを引き出す“攻めの音作り”をしてくれたことで、ディアマンテスというチームが次のステップに向かうための、一つの山を乗り越えることができた。彼に参加してもらって、本当に良かったと思っています」

 そうした思いも詰め込んで完成した新作を引っさげ、八月には沖縄、そして十一月には待望の東京・大阪公演が行われる。CDだけでも十分ワクワクするが、やはり彼らの真骨頂はライブ。ぜひ会場に足を運び、“オキナワ・ラティーナ”の風を全身で感じよう。
(取材&文・高橋久未子/撮影・喜瀬守昭)

ディアマンテス(DIAMANTES) 1991年に結成、沖縄を拠点に活動開始。1993年、1stアルバム『OKINAWA LATINA/オキナワ・ラティーナ』でメジャーデビュー。「勝利のうた」「片手に三線を」など数々のヒットを持つ。現在は全国各地でライブ活動を展開するほか、多方面のアーティストとのコラボも積極的に行っている。

◆ディアマンテス
『ARTESANO』

ハイウェーブ HICC-3622
2,500円 2013/8/8発売
地球祭り/愛が大事さ。/CEBADA/愛のメネイト/CHAMPURUMBA/MILAGRO/AMIGO/SHIMABANANA/渚のフラメンコ/TIDA-TIDA/Así como el viento〜風のように/オレタチノウタ

◆ライブインフォメーション
DIAMANTES『ARTESANO』発売記念ライブ in 沖縄
 日時:2013/8/16(金)20:00開演
 会場:LIVE HOUSE MOD’S(北谷) 
 料金:前売3,500円
 問合:ハイウェーブ 098-942-2777
DIAMANTES LIVE 2013 TANTO TIEMPO 東京
 日時:2013/11/28(木)19:00開演
 会場:duo MUSIC EXCHANGE(渋谷)
 料金:前売5,000円/当日5,500円(8/9発売)
 問合:M&Iカンパニー 03-5453-8899
DIAMANTES LIVE 2013 TANTO TIEMPO 大阪
 日時:2013/11/29(金)19:00開演
 会場:Music Club JANUS(心斎橋) 
 料金:前売5,000円/当日5,500円(8/10発売)
 問合:サウンドクリエーター 06-6357-4400

 

 

Piratsuka Special 2
松田一利『ヌチヌハナ』

民謡の隠れた名曲を歌い継ぎたい。

松田一利ジャケ 北谷町出身の唄者であり、謝苅青年会でエイサーの地謡を務めた経験も持つ松田一利が、ソロ作品としては三枚目となるアルバム『ヌチヌハナ』をリリースした。今作は選曲からアレンジまで、すべて自身が携わって完成させた、初のセルフプロデュース作品で、昔ながらの民謡や先輩唄者のカバー曲、そして自身のオリジナル曲を、しなやかな歌声で、ときに凜と、ときに切々と、思いを込めて歌い上げている。

 「制作にあたっては“民謡の隠れた名曲を世に出したい”という気持ちが一番強かったですね。たとえば伊江島民謡の『仲座兄』のように、すごい名曲なのに今ではほとんど誰も知らない、という曲が沖縄にはたくさんある。そういう歌を僕らの代でなくすわけにはいかないと思い、選曲には時間をかけて“ふだんあまり歌われていないけど素晴らしい曲”をコツコツ探していきました」

 加えてもう一つ、彼が意識したのが「旋律の美しさを引き立てるシンプルなアレンジ」だ。中には三線一本で歌っている曲もあるが、多くの曲にはギターを中心としたアコースティックサウンドで伴奏をつけた。「おなじみの民謡でも、コードを付けて洋楽器で包み込むと、その旋律の美しさが改めてくっきりと浮き彫りになるんです。それに洋楽器でアレンジすると、ふだん沖縄民謡を聞かない人にも興味を持ってもらいやすくなる。唄者としては、歌うのが難しい曲ばかり選んでしまったので(笑)録音で苦労しましたが、そのぶん、完成した音源を聞いたときは『やった!』という満足感がありました」

 それらの民謡に、亡き両親への感謝の気持ちを綴ったタイトル曲「命の花」など二曲のオリジナルをプラスし、全十曲(+別ミックス二曲、計十二トラック)のアルバムが完成した。九月下旬からは県外六か所+県内一か所でレコ発ツアーも行う予定だ。民謡を歌い継ぐアーティストとして、さらに一歩前進した松田一利の生ライブを、ぜひお見逃しなく。

◆松田一利『ヌチヌハナ』
キャンパスレコード TUNE-13
2,500円 2013/7/25発売
恋ぬ花/東方節/片便い/命の花/ヤッチャー小〜汀間とぅ/仲座兄/下千鳥/花笠節/仲順流り/北斗七星 [ボーナストラック]命の花(band_mix)/仲順流り(igaloo_mix)

◆ライブインフォメーション
09/22(日)福岡・ハイサイ!新沖縄料理GO!YA
      開場18:30/開演20:00 3,500円
10/03(木)大阪・Live cafe ARETHA
      開場19:00/開演19:30 2,500円 
10/04(金)名古屋・オキナワAサインバーKOZA
      開場18:00/開演19:30 2,500円
10/05(土)大船・花いちぜん
      開場18:00/開演 19:30 2,500円
10/08(火)神楽坂・CanColor cafe
      開場18:00/開演 19:30 2,500円
10/10(木)札幌・fudge
      開場19:00/開演 19:30 2,500円
10/18(金)沖縄北谷・MOD’S
      開場19:30/開演 20:30 2,000円
 問合せ:キャンパスレコード 098-932-3801 
 http://www.campus-r.com/kazu.html