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箆柄暦『十二月の沖縄』2019 首里城アーカイブ基金

2019.11.28
  • インタビュー
箆柄暦『十二月の沖縄』2019 首里城アーカイブ基金

《Piratsuka Special Topics》

首里城アーカイブ基金
~焼失した首里城の“よりよい形”での再建に向けて~

去った10月31日の未明。首里城が突然の出火により炎上し、正殿を含む多くの建物が焼失するという、甚大な事故が発生した。

琉球王朝時代に王府であった首里城は、先の沖縄戦で焼き尽くされるも戦後に再建が始まり、1992年には正殿を中心とする建物群が復元され、首里城公園として開園。県民はもちろん国内外の観光客にも親しまれ、名実ともに沖縄のシンボルとなっていた。その消失に対し、県内外からは哀悼の意と、再建を願う声が殺到。再建費用を募る募金活動も次々に始まる中で、先月下旬、それらとは趣旨の異なるユニークな基金が登場した。沖縄デジタルアーカイブ協議会による「首里城アーカイブ基金」だ。

沖縄デジタルアーカイブ協議会は、沖縄に関する古い資料(8ミリ映像やプリント写真など)を収集し、デジタル化して保存(=アーカイブ化)、活用する活動に取り組んでいる個人や団体の集まりである。首里城焼失に際しては、火災当日から「デジタルアーカイブを活用した再建支援ができないか」と相談を始め、手段を検討。「再建の直接的な費用ではなく、首里城を“よりよい形”で再建するために必要な資料の収集や、議論を深める活動を支援する」と決め、公益財団法人みらいファンド沖縄内に「首里城アーカイブ基金」を立ち上げた。

この基金で目標とする寄付額は1000万円。集まった資金は、

(1)27年前の首里城復元に携わった人々から話を聞き、資料を集めてデジタル化する活動
(2)提供された資料をもとに首里地域で体験できるデジタル観光コンテンツを作り、首里城再建まで観光客を絶やさないようにする活動
(3)今後再建する首里城はどうあるべきか、首里地域のまちづくりと併せて議論する活動

以上3つにあてられる。会の代表を務める映画監督の真喜屋力(まきや・つとむ)は、「首里城は沖縄観光の重要拠点だが、観光の大型バスやレンタカーが日々押し寄せ、生活道路に渋滞が頻発するなどの問題もあった。再建するならただ“元通り建て直す”のではなく、地域と一体化した“首里の町の中の首里城”であってほしいし、そうなるためには過去の首里城に関するアーカイブを積み上げ、県民が議論を重ねていく必要がある。それらの活動に必要な資金を、この基金で支援したい」と語った。

具体的な使い道としては、資料のデジタル化にかかる経費や、観光コンテンツの制作費、議論を深めるための勉強会に必要な会場費・講師謝礼の助成などを想定しているとのこと。なお、本基金は公益財団法人内にあるため、寄付額に応じて税金の控除が受けられる。趣旨に共感する方は、ぜひ寄付を検討してはいかがだろうか。問い合わせは基金のWebサイト、またはみらいファンド沖縄(TEL.098-884-1123)まで。
(取材&文・高橋久未子/首里城内展示模型撮影・萩野一政)

◆首里城アーカイブ基金
https://miraifund.org/kikin/shurijo/
事務局:みらいファンド沖縄 TEL.098-884-1123