沖縄イベント情報 ぴらつかこよみ|ぴらつかこよみ

箆柄暦『十月の沖縄』2019 おきなわ新喜劇

2019.09.28
  • インタビュー
箆柄暦『十月の沖縄』2019 おきなわ新喜劇

《Piratsuka Special Interview》

おきなわ新喜劇
~沖縄のお盆文化を楽しみながら学ぼう!~

沖縄出身の人気お笑いコンビ・ガレッジセールのゴリがプロデュースを手がける「おきなわ新喜劇」は、大阪で長年親しまれてきたドタバタ人情喜劇「吉本新喜劇」の舞台スタイルに、沖縄の風習や文化をテーマにした物語を組み合わせ、独自の演劇作品に仕立てた“笑いながら沖縄を学べる喜劇舞台”だ。2014年の第1回公演以降、毎年県内外でツアーを行うとともに、那覇の常設劇場「よしもと沖縄花月」でも毎週日曜に定期公演を実施。オールウチナーンチュの役者陣による“沖縄ならではの新喜劇”として、人気と評価を着々と高めてきた。

そしてこの10月から11月にかけて、第6回目となる全国ツアー『オジー オズ お盆~ん!』が、東京・大阪・那覇・宮古島で開催される。今回のテーマは、タイトル通り「沖縄のお盆」。プロデューサーで主演も務めるゴリと、相方のガレッジセール・川田に、このテーマを選んだ理由や見どころ、沖縄のお盆に関する思い出などを語ってもらった。

●沖縄独特のお盆文化を面白く紹介

—-今回のテーマは「沖縄のお盆」ですが、このテーマを選んだ理由は?

ゴリ おきなわ新喜劇では“沖縄らしさ”を大事にしていますが、お盆って“沖縄らしさ”が一番出やすいときだと思うんですよ。ご先祖様を送るとき“あの世のお金”を焼いてお供えしたり、夜中までにぎやかに太鼓を叩いてエイサーを踊ったり、そもそも旧暦でやるから毎年日程が変わったり(※)、いろいろと独特ですよね。そういった、内地の人が見たら驚くような“独特なもの”を笑いに変えて、面白おかしく紹介しながら、沖縄の文化をより深く、より楽しく伝えられたらと思っています。

※沖縄のお盆は旧暦の7月13日~15日。初日がウンケー(お迎え)、次の日がナカビ(中日)、最終日がウークイ(お送り)となり、3日間にわたりさまざまな行事が行われる。

—-ゴリさん自身は、お盆にはどんな思い出がありますか?

ゴリ 実は数年前に母が亡くなるまで、お盆にはあまり関心がなかったんです。子どもの頃は、お盆は親に「行かないとダメだから」って言われて、仕方なくおじぃおばぁのところに連れていかれて、大人達は楽しそうだけど自分は特に食べたい料理もないし、「つまんないなぁ、早く帰りたいなぁ」って思ってました。

でも、母が亡くなってからは、お盆になると本当に「母ちゃんがあの世から帰ってきてる」って感じるんですよね。ウークイの日に送り出すときは、「母ちゃん、また寂しそうに帰っていったな」って、勝手に頭の中で想像しちゃうんです。でも、そもそもお盆って、生きている人達のためにあるものでしょう。生きている人達が亡くなった人を思い出して、一緒に時間を過ごして、また見送る。死者は思い出してあげることが一番の供養ですから。

ちなみに今年のお盆は、仕事で沖縄には帰れない予定だったんですが、たまたま台風で仕事がキャンセルになって、急遽帰って来れたんです。「この台風は母ちゃんが呼んだんじゃないか」って思ったくらい(笑)。それで沖縄に滞在中、車に母ちゃんの写真を貼って、親父と一緒に名護のほうにドライブに行きました。

道中は、親父から戦争中の体験談を聞いたりしてね。でも、途中から親父が「その写真、母ちゃんにずっと見られてるみたいで落ち着かないから、はがしてくれ」って言い出して(笑)。親父は母ちゃんのことが怖かったんだろうなぁと思うと、もう可笑しくて…。今年はそんな経験もできて、いいお盆でした。

—-川田さんは今年のお盆は、いかがでしたか。

川田 僕は今年、親父が初盆だったんです。親父は宮古島出身で、僕自身、祖父母のお墓参りはしたことがあったけど、その上の曾祖父母のお墓参りとなると、今回が初めてで。それで、僕の子ども達も連れていって、みんなでご先祖様に手を合わせたら、すごく気持ちがすっきりしました。「ご先祖様に子ども達の顔を見せられてよかったな、きっと喜んでるだろうな」って感じたし、だからお盆は大事なんだなって、改めて思いました。

●定期公演で磨いたネタをツアーに凝縮

—-おきなわ新喜劇ツアーは2014年に始まって、今回で6回目になります。この5年の間に、どのような手応えを感じていますか。

ゴリ 1年目は、よしもと沖縄の若手芸人にとっては初めての舞台だったので、みんな立ち位置はわからないし、具体的に指示しないと動かないし、何かハプニングがあったり、アドリブが出たりすると頭が真っ白になって固まるし、本当に大変でした。

でも、今ではみんな立ち位置を説明しなくても動けるし、以前は台本通りにやるので精一杯だったのが、「ここの台詞は、こう変えたほうが自分らしい」と思ったら、平気で変えてきたりする(笑)。みんな自信がついて頼もしくなってて、それが本当に嬉しいですね。将来的には、おきなわ新喜劇は彼らに担っていってもらいたいですし、僕らが(メンバーから)抜ける日も近づいてきたかな(笑)。

—-そういった若手の成長は、おきなわ新喜劇を年に一度のツアーだけでなく、「よしもと沖縄花月」という常設劇場で、毎週上演していることも関係しているのでしょうか。

ゴリ そう思います。やっぱり人前で毎週本番をやってたら、若手も実力がつきますよね。それに毎週公演があると、演者同士のやりとりやギャグなんかも、「今週はこれを試そう、来週はこうやってみよう」って、いろいろな実験ができる。年に一度のツアーには、そういった中から確実にウケたネタだけを凝縮して注ぎ込めば、大爆笑から始まって大爆笑で終わって、お客さんが「来年も見たいね」って作品になるわけです。その意味でも、常設劇場があって毎週舞台に立てるのは、本当にありがたいことだと思っています。

—-今回のツアーには、沖縄の若手芸人では以前から出演しているありんくりんに加えて、A16(えいいちろう)やカシスオレンジなど、新しい顔触れも参加しますね。

ゴリ A16もカシスオレンジも、とてもいいですよ。お笑いのセンスがすごくある。彼らが入ることで、ありんくりんも刺激を受けて、ますます頑張りますし、いい相乗効果が生まれていると思います。あと、今回のツアーではゲストとして、関東で活動している沖縄出身のシンガー、平川美香さんが出演してくれるんですが、彼女がステージでどれだけ爆発するかも楽しみです(笑)。彼女、歌はすごく上手いのに、すぐに変なおじさんメイクをしたり、網タイツで踊り狂ったりするから(笑)。

ただ、彼女が歌う「ダイナミック琉球」はとてもステキなので、ぜひともそれを聞いてもらいたいなと。僕は最終的には、沖縄でコメディミュージカルをやりたいんです。沖縄の文化や風習だけでなく、歌も踊りも全部入れた、ラスベガスのショーのようなステージが作りたい。常設劇場の定期公演では、予算的な問題もあってまだそこまでできていませんが、ツアーは僕の理想形にだいぶ近づいていると思います。

●会場全体が沖縄の空気一色に!

—-では今回の全国ツアーに向けて、メッセージをお願いします。

川田 今回のツアーは、東京・大阪・那覇・宮古島と4か所を回りますが、公演中はそこが東京でも大阪でも、会場全体が沖縄の空気一色になるんですよね。それがこの作品の何よりの魅力だと思います。今年は去年よりもさらに内容がパワーアップしてますし、絶対に損はさせません!(笑) ウチナーンチュもヤマトンチュも、ご先祖様も今年亡くなった方も、みんなで一緒に楽しんでもらえたら嬉しいです。

ゴリ そう、この「おきなわ新喜劇」は内容も面白いですが、出演者もみんな沖縄出身ですから、顔を見てるだけでもあまりに濃すぎて、笑えてきます(笑)。沖縄が好きな皆さん、会場で一緒に沖縄愛を感じましょう!

本編では、お盆に天国から帰ってきたオカア(母)とその家族、家族にちょっかいを出す周囲の人々とのやりとりをコミカルに描きながら、随所に“沖縄のお盆あるあるネタ”を折り込み、エイサーなど沖縄芸能の魅力も紹介する内容となっている。ガレッジセールをはじめ、沖縄の若手芸人や実力派俳優が全力でお笑いに挑む「おきなわ新喜劇」の面白さを、ぜひ各地の劇場で体感しよう!(取材&文・高橋久未子/撮影・喜瀬守昭)

※表紙写真 各列左から右へ
(前列)ありんくりん・ひがりゅうた/普久原明/玉城敦子/宝眞榮日也美/(中央列)カシスオレンジ・仲村駿稀/ガレッジセール・ゴリ/ガレッジセール・川田/田仲メリアン/(後列)ありんくりん・クリス/A16/カシスオレンジ・仲本新 ※ツアーには宮川たま子・平川美香も参加

◆第6回 おきなわ新喜劇ツアー『オジー オズ お盆~ん!』
http://okinawa-shinkigeki.com/

出演:ガレッジセール/普久原明/玉城敦子/田仲メリアン/宝眞榮日也美/ありんくりん/カシスオレンジ/A16/宮川たま子/ゲスト:平川美香

◎東京
日時:2019/10/17(木)19:00開場/19:30開演
場所:ルミネtheよしもと(新宿)
料金:前売4,000円/当日4,500円
問合せ:チケットよしもと TEL.0570-550-100

◎大阪
日時:2019/10/18(木)18:30開場/19:00開演
場所:なんばグランド花月
料金:前売4,000円/当日4,500円
問合せ:チケットよしもと TEL.0570-550-100

◎那覇
日時:2019/11/6(水)・7(木)18:30開場/19:00開演
場所:琉球新報ホール(泉崎)
料金:一般前売3,500円/当日3,900円、中学生以下前売3,000円/当日3,400円
問合せ:PMエージェンシー TEL.098-898-1331

◎宮古島
日時:2019/11/28(木)18:30開場/19:00開演
場所:マティダ市民劇場
料金:一般前売3,500円/当日3,900円、中学生以下前売3,000円/当日3,400円
問合せ:PMエージェンシー TEL.098-898-1331

※全公演とも4歳以下膝上無料