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箆柄暦『七月の沖縄』2016 大城美佐子

2016.06.30
  • インタビュー
箆柄暦『七月の沖縄』2016 大城美佐子

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箆柄暦『七月の沖縄』2016
2016年7月1日発行/159号

「SUKIYAKI OKINAWA 2016」9月開催
仲宗根創の3rdアルバム『辿−Ten−』
『BEGIN 25周年記念コンサート at 両国国技館』
しゃもじDVD『ダンチングヒーロー』
ネーネーズ『LIVE IN TOKYO 2016〜DIGと一緒にさあDIKKA!〜』
『Island Illusions vol.2 おきなわ音紀行 久米島編』
『琉球古典音楽決定盤〜命ど宝どう〜』
仲村清司・藤井誠二・普久原朝充『沖縄 オトナの社会見学 R18』
『カチャーシー・ア・ゴーゴー&連続カチャーシー』
7月のうとぅいむちプログラム
[早耳]第1回 新意地豊年祭 新良幸人・下地イサム

 

 

《Piratsuka Special》
大城美佐子

沖縄の唄は、心で唄うもの。

 大城美佐子は、現在の沖縄民謡界において、その実力からも芸歴からも、間違いなく「最高峰」と呼ぶにふさわしい唄者の一人である。

 幼い頃から三線や民謡に親しんで育った彼女は、二十歳頃から琉球古典音楽や琉球舞踊を習い、その後民謡界の巨匠・知名定繁(故人)に弟子入りし、本格的に民謡を学び始める。1962年には、初のシングルレコード「片思い」が大ヒット。凜とした中に、たおやかさと細やかさを併せ持つ美声は「絹糸声(いーちゅぐい)」と絶賛され、一躍人気唄者となった。

 そして70年代半ばからは、〝風狂の歌人〟と呼ばれた天才唄者・嘉手苅林昌(故人)の相方を務め、その名コンビぶりで〝女カデカル〟の異名を取るまでになる。99年に嘉手苅が逝去した後は、その喪失感からしばらく活動ペースを落としていたが、唄への情熱は消えず、徐々に第一線に復帰。現在は那覇で民謡酒場「島思い」を経営する傍ら、県内外で積極的にライブを行い、沖縄民謡の魅力を広く世に伝え続けている。

 その大城美佐子がこの夏、芸道足掛60年を迎えるのを機に、東京・赤坂ACTシアターで、記念公演「琉球の風と海と太陽(ティーダ)」を開催する。本人にとっても久々の大舞台となるこのステージを前に、彼女が思っているのは「唄を通じて、沖縄の神髄、沖縄の心を伝えたい」ということだ。

 「沖縄の唄って、本当に心が癒されるもの。私自身、戦争中にいろんな経験をしましたけど、戦争を恨むより先に唄に癒されたし、その後もずっと唄に人生を支えられてきました。本土の方や外国の方も、私の唄を聴いて〝歌詞はわからないけど、胸のあたりにじーんときた〟とおっしゃることがあって、そうやって〝唄が届いた〟と感じられるときは、一番嬉しいですね。沖縄の唄は〝語り〟だから、聴く人の心に届くように、思いを込めて唄うことが何よりも大切なんです。唄は声ではなく、心で唄うものですから」

 そんな思いがこもった今回の公演では、共演として師・知名定繁の息子であり大城の弟弟子にあたる知名定男と、大城と親交の深い徳原清文という、共に名手の二人が名を連ねるほか、若手のよなは徹、琉球古典女子楽団UMINAIも参加。進行役は沖縄芝居役者の当銘由亮が務め、曲間には当銘が脚本を手がける映像作品「大城美佐子物語」が上映される。映像では沖縄出身の人気女優・仲間由紀恵がナレーションを担当し、大城の唄者人生を振り返っていくとのことで、見ごたえある内容になりそうだ。

 さらに当日は、大城の最新アルバム『琉球の風と海と月』も販売される。唄者・大城美佐子の魅力と沖縄民謡の素晴らしさをたっぷり堪能できる、是が非でも見逃せない公演といえよう。大城も「せっかく東京まで行くんだから、お客さんが満足できる舞台にしたい」と意気込んでいる。

「私はステージ前はいつも緊張するけど、お客さんの顔を見た瞬間に元気になるんですよ(笑)。本土へ唄いに行くことは私の元気の元でもありますし、今回も楽しみにしています。ぜひ、沖縄本来の民謡を聴きに来てくださいね」

(取材&文・高橋久未子/撮影・喜瀬守昭)

 

大城美佐子(おおしろみさこ)
1936年(昭和11年)大阪生まれ、名護市辺野古育ち。1962年、シングルレコード「片思い」でデビュー。現在は那覇にある自身の店「島思い」を拠点に、全国各地でライブ活動を行う一方、後進の指導にも取り組んでいる。

Live Information 

大城美佐子 芸道足掛60年記念ライブ
「琉球の風と海と太陽(ティーダ)」

出演:大城美佐子/知名定男/徳原清文/よなは徹/琉球古典女子楽団UMINAI/当銘由亮/仲間由紀恵(声の出演)
会場:赤坂ACTシアター
日時:2016/8/7(日)
   昼公演13:00/夜公演19:00開演
   (昼・夜で曲目の変更あり)
料金:S席7,800円/A席6,800円/学生券S席4,800円
   (全席指定・6歳以上有料・学生券は当日要学生証)
問合:キョードー東京 0570-550-799

公演チラシ